11/27は、今回の旅最長移動距離でした。
朝6時にオッターヴィオと待ち合わせて、高速の料金所近くにレンタカーを置いて、オッターヴィオの車で一路トレンティーノに。訪ねたのは、ボローニ蒸留所。
現在はこの3種類のアックアヴィーテのみを生産。総生産本数でも3000本以下という、
ものすごい小さな蒸留所。
ボローニ蒸留所
ボローニ家は1800年初頭からジェンツィアーナ(野生のリンドウの根)を蒸留していたことが、文書でも確認されている。現当主の曾祖父が1849年に正式に蒸留所としての活動を開始、1852年にはペルーゴ市からジェンツィアーナの採取の正式な許可を得る。1972年に家庭の事情で蒸留所をいったん閉めていたが、かつてのボローニ家が生産していたジェンツィアーナの味を覚えていた人々の要望と、現当主の100年以上にも渡る伝統を絶やしてはいけないという強い要求から、活動を再開した。
ジェンツィアーナはアダメッロ・ブレンタ国定自然公園内の、標高2000m以上の場所で採取され、麻袋に入れられ麓まで持ち帰られる。根の下処理等はすべて手作業で行う。その後、一切他のもの(糖分、酵母等)を添加することなくアルコール醗酵させ、薪を燃料とする蒸気式の蒸留器で蒸留を行う。インペラトーリアはセリリ科カワラボウフウ属の1種のマイスターヴルツと呼ばれる植物で、根の部分を蒸留する。標高1000m以上の牧草地や湿気のある繁みで採取される。醗酵・蒸留方法はジェンツィアーナと同様。ジネープロはセイヨウネズのことで、ジンなどの香り付けにも使われている。山で採取したジネープロの球果を醗酵・蒸留。
左がインペラトーリアで、右がジェンツィアーナ。インペラトーリアの方が根が細い。
原料が収まっている木の台の上で、ナタを使い根っこを切り刻んでいた。上の写真のボトルの裏あたりに見える木に付いている傷は、握力がなくなってナタがすっぽ抜けた時にできたものだそう。どんだけ沢山の根っこを刻んでたんでしょうね・・・。
ハイテク根っこ刻み機
醗酵槽。根っこからアルコールができるということがイマイチイメージ出てなかったのですが、根っこの中のデンプン質が糖化してそれがアルコールになるという話を聞いて納得。ワインより、穀物酒に近い醗酵プロセスなんですね。
蒸留器 下に置かれているのはローズヒップ。実験的にローズヒップのアックアヴィーテを造ろうとしていた。
インペラトーリアの採れる場所に連れて行ってくれた。
こんな感じの沢地の湿気のあるところにある。
画面中央の三つ葉のような形をしたのがインペラトーリア。
ジェンツィアーナというアックアヴィーテ、それまでは好きじゃなかったのですが(とはいえ、とある造り手のもの1つしか試したことありません。それも自社扱いだったりします・・・)、ボローニのジェンツィアーナの鼻と味わいの心地よいギャップにはびっくりしました。鼻では、根っこから造られた事が容易に想像つくほどに、土臭い(ごぼうのように)のですが、味わいは軽く、アフターには土臭さがそれほど残らない。
インペラトーリアはさらに上品。ジェンツィアーナは苦手という人でもこれならいけるかも。ジェンツィアーナはこの地域では伝統的な蒸留酒なわけですが、インペラトーリアという植物を蒸留してみようと考えたのは現当主の祖父らしく、今でも彼らしか生産してないそうです。数ある植物の中から、なんでインペラトーリアを選んだのでしょうね?
ジネープロも鮮烈。ジンのあの香りが思いっきり前面に出ている感じ。ジネープロを漬けたグラッパやリキュールは沢山あるだろうけど、ジネープロを醗酵させて蒸留したお酒は始めて見た。
どれも本当に素晴らしい製品だと思う。オッターヴィオから、”ボローニの製品を俺がお前に薦めたことを、後で絶対感謝するはずだから”とまで言われ、味も見ずに買ったのですが、彼の言うとおりでした。やるな、オッターヴィオ!
昼食をご馳走になった後に、インペラトーリアのノンフィルターヴァージョンを飲ませてもらう。フィルター(麻袋を使用している)にかけているものに比べると、少々濁っていて、エッセンシャルオイルも浮いている。が、これがまたフィルターにかけたものより遥かに美味しいではございませんか!!次回からノンフィルターでボトリングしてもらう予定です!!
昼食後、いったんパルマに戻り、レンタカーを拾い今度はピエモンテに!トレンティーノには僕が運転していったわけではありませんが、ともかく800km以上を1日で移動した計算に。
ピエモンテはネイヴェにあるボルディーノ・チンツィアのアグリトゥリズモに行って、新しいワインと食事をご馳走になる。僕もオッターヴィオも疲れていたので早々に解散。