今回はピエールパオロ ペコラーリを紹介させて頂きます!
今回来日する2人、右がピエールパオロの息子アレッサンドロ、左が醸造学校に通う傍らペコラーリで働くマッテオ、2010年京都のバスにて。
僕自身、人との関わりあい方に関してはかなり熱いほうだと思うのですが、アレッサンドロの熱(情熱、テンション)の前では、ないに等しいというくらい、彼には良くしてもらっちゃっています。
彼らとの取引もかれこれ11年になりますし、ワインとしては僕がローマでアルバイトをしていたお店で彼らのワインを使っていましたので、14-5年前から知っていることになります。
小さい頃から日本のアニメが大好きで、そこから日本全体に関して興味を持つようになったようで、日本との取引が始まること、僕という日本人の友人ができたことに興奮していたアレッサンドロの姿が忘れられません(笑)。
ピエールパオロ ペコラーリは、ペコラーリ親子3人が中心になってやってるワイナリー。お父さんのピエールパオロはしゃべらなければ、無茶苦茶ダンディーに見えるおじさんです(ちょっと声、話しっぷりが可愛い)。ラディコンやラ・カステッラーダのニーコと一緒に醸造学校に通っていたらしく、ニーコ曰く、最も優秀な生徒だったそうです。お母さんはとてもキュートな人で、素敵におっちょこちょい。彼女のキャラクターは確実に息子に継がれています。そして名前がすごい、AlbaTemporale(アルバ・テンポラーレ)と言って、日本語的にするなら嵐朝日さん(もしくは嵐暁さん)といったところでしょうか。
30ヘクタール以上のブドウ畑から年生産本数約20万本。ヴィナイオータ取り扱いの造り手の中では間違いなく最大級(極少量しか生産しない造り手との取引が多いだけなんですけどね)。とはいえ、当初から環境に負荷のかからない農業を心掛け、除草剤などは一切使わず、畑ではボルドー液のみ使用。極少量の堆肥しか与えませんが、その堆肥も現在では自家製。
畑は平地にあるのにもかかわらず、石質な土壌なので、水はけが良く、凝縮したブドウができます。
畑の近くには第一次世界大戦の名残の塹壕がちらほら。
ワイナリーでは、スタンダードクラスのワインに関しては、培養酵母を使用して醗酵を行いますが、上級キュベ2種類には培養酵母は使用していません。
上級キュベ2種類のうちアルティスと呼ばれているほうは、醗酵の初期段階を白ワインですが皮ごと行いますので、その際に皮に付く酵母を取り込めるので酵母の添加が必要ありません。ステンレスタンクでの醗酵、熟成の後にボトリング。
もう1つの上級キュベは、単一品種、シングルヴィンヤードのワインで、樹齢の古いソーヴィニョン、シャルドネ、ピノ グリージョ、メルロー、レフォスコから造られます。レフォスコに至っては、アレッサンドロのお祖父さんによって、1950年代に植えられたものになります。
白ワインに関しては、ブドウを圧搾後、醗酵が始まった段階で樽へと移し、残りのアルコール醗酵をさせ、赤ワインも果皮からの抽出が終わった段階で樽へと移し、残りの醗酵を終わらせ、そのまま熟成させます。以前はこれらのワインにも醗酵の初期段階には培養酵母を、樽熟成中には乳酸醗酵を円滑に進めさせるためにバクテリアの添加を行っていましたが、現在では必要ないと判断、これらの添加を行っていません。
使っている当時は、ワインを早い段階で安定化させるためには必要で、過剰な酸化防止剤添加のように身体に付加を与えるものでないとの説明を受けましたが、僕自身、それらを使わなくてもワインを造れている人が普通にいること、ブドウが持つことになる年どしの個性はブドウそのものの品質(糖分、酸度などなど)のみを指すわけではなく、ブドウの皮に付いている様々な微生物の生息具合さえも年の個性といえるだろうから、それを活かそうとする事も、彼らのように自然に対して最大限の敬意を払いながら畑作業をしている造り手なら考えるべきことなのでは?と意見した記憶があります。
この僕との話がきっかけだとは思いませんが、酵母やバクテリアを添加しなくても問題ないと確信が持て、それを実践し始めていることは、僕にとって非常に嬉しい出来事でした。
マッサ ヴェッキアに比べると生産本数ベースで20倍近くの規模があるわけで、その規模の大きさで機動性を欠くことになるし、リスクヘッジに対する考え方も、小規模なところに比べるとより手前に設定しないといけない。だけどそんな状況の中でも、一歩一歩確証を深め、よりナチュラルなものを目指している・・・。
過去どうだったかだなんてどうでもよくて、今、過去よりも先に、それぞれのペース、スピードで前に進めているかどうかが大事なんじゃないでしょうか?もちろん過去も現在もある程度の整合性、揺るがぬ信念のもと進めるに越したことありませんが、僕も含め、そんな強い人ってなかなかいないですよね。
自由なワイン宣言で書いた、各々の持つしがらみ、不自由さというのが、彼らの場合ワイナリーとしての規模ということになると思うのですが、彼らの良心のもとに、その中でより自由であろうと模索しているのがこういったエピソードからも垣間見えて、友達として非常に嬉しいし、これからの進化も非常に楽しみだったりします。
現に、フランスでしたらボージョレの造り手を筆頭に、そしてイタリアでもラ ストッパなど、あくまでも自然な手法を採用しつつも、量を造ることにも成功している造り手はたくさんいますし!
頑張れアレッサンドロ!
今回お出しするワイン:
Altis Pinot Bianco 2009
Altis Sauvignon 2010
Olivers Pinot Grigio 2008
Kolaus Sauvignon 2008
Tao Refosco 2007
でっす!