もうかれこれ3週間前の話となってしまいました・・・。
参加していただいた方、ありがとうございました。そして突然の体調不良により、テンションがド低かったことをお許しください。遊人からウイルスをもらったらしく、結局その後、家族全員総ダウンしてしまいました。
僕たちは商売上ああいった感じで飲んだりする機会もありますが、一般の方たちは1人の造り手のワインを10数種一挙に試飲できることってそうないのではないでしょうか。なにかしら、皆さんなりの発見があったことと思います。僕たちインポーターの側からしても、エンドユーザーの側からしても、ガーネットというお店の柔軟性というのは本当にありがたいですよね。
ヴィナイト過去3回のような、テーマを絞らないワイン会でしたら何回かやった記憶があるのですが、今回のようにテーマのあるワイン会といえば5年前、キッシーが働いていたお店でのアンジョリーノのレチョートの垂直が最後なのではないでしょうか。
僕自身、伝えたいと思うことがあったとしても、伝える場(機会)をセッティングするのがなかなか難しく、エネルギーを要することだったりしたわけですが、ガーネットの登場、店番さんの素敵な腰の軽さのおかげで、こちらとしてもそんなに構えることなく気軽に企画することができるようになりました。ありがたやありがたや。これからも、僕が造り手から感じさせてもらったものを、皆さんにも感じていただけるように、意図のあるワイン会を企画させていただこうと思います。
ガーネットBlogのほうには書きましたが、次回は湯原君にもご協力いただいて、ブラインドで同一品種のワインを比較してもらうような会にしようと考えています。ワインは嗜好品だとよく言われます。一般的なレベルで話をするのなら、実際そうだと思います。が、もしも究極のレベルでの話ならば、僕は”絶対”が存在すると思っています。次回の企画で、その僕の考える”絶対”を多少なりとも皆さんに垣間見てもらえるようにしたいと思います。ノリとしては、アワビVSとこぶし、もしくはアワビVSとこぶしVSあさりですとか、河豚は高いから美味しいと思っちゃうのか、それとも河豚には何か唯一の味わいがあって、それを体験するためには残念ながら高いお金を払わなければならないのか、とか・・・。先入観を完全に取り除くことはできませんが、自分が先入観を持ち合わせていることを意識してして、それを少しでも減らす努力をするということにはすごく意味があるような気がします。そんなことを感じていただく意味でも”ブラインド”というのには意味があると思います。
で、ヴィナイト4で開いたワインに関する僕なりのコメントを少々。
ダニエーレ君
Biancoは澱の影響を受けた香りから始まります。それもそのはず、ビンの底には、熟成中にタンクや樽の下部に沈殿している澱そのものがたまってますから。決して取れないタイプの還元臭ではないのですが、ないに越した事はない。酵母がまだ活動している最中にボトリングしてしまったせいかと。味わいそのものが素晴らしいだけにちょっと残念と思っていたのですが、アサリ-マテ貝-サザエナイトの時に開けたボトルは立ち上がりから香りも素晴らしく、一瞬で空いてしまった。ボトル差なのか、タイミングの問題(月とか)なのか?
Rossoは還元の問題はまったくなく、美味しかった。高い標高に由来するであろう可愛らしさが良かった。
アンジョリーノ
Pico4種類は本当に面白かった。ノーマルのPicoが良いブレンドであることが証明されたのでは。TaibaneとMonte di Mezzoがワインに香りや骨格を与え、Faldeoがエレガンスを。アンジョリーノ本人はTaibaneがそれほど恵まれた立地ではないと考えているのに対して、Monte di Mezzoを良く話していたのですが、2004年のPicoを樽から試飲した段階でも僕はやっぱりTaibaneが好きだったし、今回の2006もTaibaneが一番でした。が、秋にイタリアで飲んだときよりもMonte di Mezzoの印象が断然に良く、初めてアンジョリーノが言っていたこの畑の高い潜在性を認識できたような。
Cana'は良年の99年とブドウの品質的にはアンジョリーノ史上最悪の2005。2005が思いのほか濃く、強かったことにびっくりしました。99年の美味しさは言わずもがな、まだ硬いですね。
TocaiRosso2005は本調子ではなかったような。
Merlot2000はこの日の赤の中で一番評判良かったのではないでしょうか。植えたばかりだか、接木したばかりだかのメルローで、アンジョリーノ自身実をつけないと思っていたのですが、樹によっては小さな房がなりました。ブドウ樹1本に1房、加えて暑い年だったということもあり、凝縮するだけしたブドウからできたワインがあのメルローです。対して2004年はTocaiRosso同様に本来の姿とは程遠かったです、残念!
Reciotoは99年と98年のレチョート・マンカート”(甘みの)欠けたレチョートの意”。98年はアンジョリーノが初めてレチョートで長期間のマセレーションを試した年。半量は従来通りのモストだけでの醗酵、もう半分をマセレーションで。マセレーションしたほうのワインは皮があったためか、好気的な状況だったため(開放式醗酵槽を使用した)か、酵母の食欲が旺盛で、今までなら活動をやめてしまったアルコール度数を超えても醗酵を続け、結局アルコール度数15%に甘みのほとんどないレチョートになってしまいました。従来の造りをしたレチョートを6、マセレーションをしたレチョートを4くらいの割合でボトリングしたのが6年前にリリースされたレチョート98年。で、今回のレチョートはその後使い古しのバリックに移されてさらに5年もの間、放置熟成(ワインの継ぎ足しも、酸化防止剤添加も一切することなく)させられ、2007年にボトリングされたもの。醸造からボトリングまで酸化防止剤は一切使っていない。驚くべきことにまだ動いている(微発泡まではいかないが、口の中でプチプチ感じる)。彼のレチョート・リゼルヴァ99とこの98年は、甘いワイン史上最強の2本と言ってもいいと思います。すごいぜ、先生!
テンションもカメラ位置も低かった・・・。